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今、担任の口から出た「邪教」と言う言葉は、単純に異教の事を指す訳ではない。
以前の王であれば、異教イコール邪教、という発想に繋げたかもしれないが、現在ではそういった意味では無い。
危険な思想を持ったオカルト集団、と言った意味が強い。
この国では現在、宗教を選択することは自由である。
だから、崩天のルシフェルの事を神だとか言う連中も出てきたのだ。
本人からすれば、迷惑千番極まりない。が、今の所目だって悪事なども働いていないので、潰したくても潰せない状態なのだ。
酷いジレンマ状態だと言える。
当の本人は嫌っているのに。
「先生、邪教を討伐するギルドの依頼とかは?」
生徒の一人が手を上げて質問した。
「勿論、ギルドでは早々に依頼を出している。ただ、相手方の目的と実力が分からないので、ギルドランクはAと言う事になっている」
「では、私も少し調査を」
Aならば、カレナが受けることが出来るレベルだ。
「駄目だ。お前は学生だろう。それに以前私の忠告を無視して突っ走ったからな」
担任はカレナにそう釘を打つ。
「調査だけですよ」
「駄目だ。結局掴んだ情報をもって行ってしまったからな」
「私だって学習くらいはします」
「無理なもんは無理だ。相手がSクラスの実力者だったらどうする」
その例えには、カレナも黙るしかない。
流石にまだ死にたくはないだろう。それに、犬死は尤も嫌いだ。
恥ともいえる。
カレナが首を突っ込みたがる理由は、ただ単に一つだけ。
平和が一番なのだ。なんだかんだいっても。何かの影に怯えたくないから、敵を倒したいだけなのだ。
彼女の気持ちも分からなくもない。
なまじ実力をつけて、そんな感情を持つと、振るいたくなる。
「とにかく、ここ数日は一人で外出することは危険だ。少なくとも数人で集団となって行動しろ」
要するに、班行動をしろといっているのだ。
軍において、最小の戦術的集団が班だ。それはギルドにおいても同様。
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