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幾らなんでも知りすぎる。
何故、彼はジェンが獣人であると分かったのだろうか?
考えれば考えるほどに、疑問が生まれてくる。
委員長ではないが、彼について追求したくなってしまう。
尤も、追求したところで出てくる回答なんて、分かっているだけだが。
結局は崩天のルシフェルの弟子であるということだけなのだ。
彼の定義はそれで十分。
それ以上を求める必要性は無いだろう。まあ、彼の本来得意とする戦術が隠密行動である、と聞けば納得はするが。
それだけの手練だと言う事だ。
そもそも崩天のルシフェルそのものが常識外れなのだ。その一番弟子であるリオンが、常識外れでないと言うのも何処か滑稽だ。
「分かっているわよ。今度ばかりは無茶出来ないわよ」
口を尖らせて、カレナは従者に言い放つ。
どうやら納得はしていないらしい。それもそうだろう。
何せ前回ではギルドランクAである上に、二つ名持ちであるにもかかわらず、陳腐な罠に引っかかるという「へま」をしたのだ。
その汚名を晴らすにも、今回は自分の力でやりたかったに違いない。
「本当にそうだったら、宜しいのですが。旦那様も嘆いておられましたよ」
「お父様はどうでも良いでしょ!」
顔を真っ赤にしてカレナはそういう。
実際彼女の父親は随分と心配しているのだ。
何せ、ファイとの一件があるまで、随分とお淑やかだったのだから。
それにしても過保護な一面もある。やはりそこは父親なのだろう。
リオンも似たようなものだ。
父親と言うものはどうしても、娘には甘くなるのだ。
武家の子であっても、やっぱり女の子は可愛らしく育ってもらいたい。
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