小さな小さな子犬ちゃん

39/45
前へ
/617ページ
次へ
これを好機とばかりに話題を変えるカレナ。これ以上赤っ恥の話を続けたくは無い。 と言うか、昨日から気になっていたのだ。 「ど、何処でその話を……」 動揺するピアナ。カレナのにやけた顔が、嫌に恐怖心をくすぐったのだろう。 「噂になっているわよぉ? 相手はあのワルキだとか」 「ごっ誤解です! ありえません! しかもどうして彼となんですか!」 「あら? 隠す必要性は無いんじゃない?」 「隠す必要性もありませんわ。彼とは何もありません! これからも!」 本人が聞いたら泣き出しそうな台詞だ。 完全に心がへし折れてしまいかねない。ああみえて、中々繊細な一面を持っているのだから。 「でも、内心はどう思っているのかしら?」 一応聞いておく。希望など無いが。 「全くこれっぽっちも、そんな感情は持ち合わせていません」 きっぱりと断言する。これは手痛い。まぁ、嫌われてはいない分、ましと言えるのだろうか? 「何の話しているの?」 会話に入ってきたのは委員長だ。やはり恋の話には敏感なのだろうか? 恋煩いには。 「え? ピアナはワルキの事が好きだって話」 「違います!」 茶化すカレナと必死に否定するピアナ。メイドにしては珍しく興奮している。 「ああ、成程」それで状況を理解する委員長。「それで?ピアナはどんなのが好みなの?」 にやにやと委員長も完全に参戦する。 普段、そういった浮ついた話を一切話そうとしないこのメイドの好みを聞く良いチャンスだ。 これほど、面白そうな話があるだろうか。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加