小さな小さな子犬ちゃん

42/45
前へ
/617ページ
次へ
出迎えてきたのはロウだ。この天真爛漫な幼女はテンションが中々高い。 子供らしい子供らしさというものを持っているのだろう。 ゲームなんかで部屋にこもりっきりの子供ではなく、元気に外で遊びまわる子供だ。 まぁ、元が竜なので、仕方ないだろうが。 「帰ってきたのか。おや随分と疲れている顔をしているな」 ヘルはそういう。彼女は彼女で随分とエプロン姿が板についている。 ……これもまたシュールだろう。ある意味。 「それなりの運動をしてきたんだからな」 一応強がってみる。それなりとは言っても、かなりの運動量であることは言うまでも無い。 「そうか、それは元気で何よりだ」 彼女はそういうとさして興味もなさそうに顔を背けた。 少しは心配してくれても良いだろう、と言いたくはなったが彼女は他人の使い魔だ。 自分の主人の事以外はどうだって良いのだろう。いや、自分の使い魔ですら、ワルキには興味を持っていないが。 「お帰りなさい、ワルキさん」 そういったのは犬耳をつけたジェンだ。 随分とはっきりものを言うようになったものだ。朝とは大違いだ。 「おう、ただいま」 それに答えるように、ワルキは笑顔でそういってやる。こういった子供を相手にするときは、笑顔を忘れてはならない。 「今日は二人で一体どんなことをして遊んでいたんだ?」 ワルキは鞄を放り捨てて、二人にそう尋ねる。 リオンがやっていたように、きちんと目線をあわせて。 「今日は、ずっとガルナさんと遊んでました」 あのクールな狼が良くもまぁ、子供の面倒を見ていたものだ。 おそらくはただ単にそこにいてただけだろうが。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加