小さな小さな子犬ちゃん

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鬱陶しく思わなかったのだろうか。 いや、そもそも興味が無いのだろう。 いつものように、時折尻尾と耳を動かす程度で動こうともしなかったのではないだろうか? それの周りで子供二人ははしゃぎながら、遊んでいたに違いない。 「そうかそうか、楽しかったか?」 「うん。お昼寝のときも一緒に寝たんだ」 「一緒に?」 「うん、一緒に。ガルナさんのおなかに頭を乗っけて」 へぇ、これまた随分と風変わりなことだ。 部屋の隅で丸くなっているガルナを見ながら、ワルキはそう思う。 予想外にもほどがある。 絶対鬱陶しがると思っていたのだ。興味が無いにしろ、自分に対して過剰に反応してくる子供は、苦手だと思っていたのだ。 きっとガルナの毛並みでもふもふしていたのだろう。羨ましい。 「で、どうだったんだ?」 ワルキは上機嫌のジェンを見ながら、ヘルにそう尋ねた。 「何がだ?」 「何がって、ジェンについてだよ」 「別に。普通だったが。口数は少ない以外に、別に問題視する所は無かったが」 「いや、そういう所じゃなくてだな」 「では、どういう所なんだ」 素でやっているのか、それともわざとやっているのか、分からない発言だ。 思っているよりも、天然な一面もあるのかもしれない。 「素性だよ。何処の子か、分かったのか?」 「分からん。それに無理だ」 「何でだよ、随分と懐いているじゃないか」 「警戒心って言うものはそう簡単に消えないものだ。ただでさえ、自分と種族が異なるのに、しかも知らない人物なれば尚更だ」 「そんなもんか?」 「貴様は馬鹿だろうから分からんかも知らんが、そんなもんだ」 「な! 俺は馬鹿じゃないぜ!」 「そんなことはどうでも良い。とにかく、今は主が戻ってくるのを待った方が正しい」 「……おいおい、リオンが戻ってきたからって、何か変わるのかよ」 馬鹿呼ばわりは正直気に入らないが、ジェンのほうが優先だ。 まぁ、確かに馬鹿とは少し異なるかもしれない。 「主の情報収集力を甘く見ないほうが良い。ただの迷子でもない限りは、一日で情報を持ち帰ってくる」 「ただの迷子で無い場合?」 ただの、と言う単語が気になった為、ワルキは聞き返す。
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