小さな小さな子犬ちゃん

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「お腹減った!」 「お腹減った!」 双子みたいに声を合わせて言う子供達。 全く、子供同士だとすぐに仲良くなってしまう。 警戒心と言うものが全く無いのか疑問に思ってしまう。とは言っても、最近の子供達は随分と警戒心が強くなっているが。 流石に人を見たら泥棒と思え、と教えられれば流石に初対面の人間は警戒するだろう。 思っているよりも悪人は少ないのだが。 だが、確かに怖いことは怖いのだが。 それを考えたら、ジェンがそう簡単に自分のことを話さないのか、よく分かる。 種族が違う、国が違う、見知らぬ年上の人間に自分のことを簡単に話せるわけも無い。 ワルキだったら、警戒して絶対に誰にもなびかない。 だと言うのに……。 息を漏らしながら、無邪気に頬にご飯粒をつけているジェンを見る。 幸せそうに笑っている。 ま、こんな贅沢が味わえるなら、しばらくはこのままでもいいか。 そんなことを考えるようになっていたワルキの元に、騒動は訪れる。 それはジェンがワルキの元に訪れてから、数日がたった頃の話だ。 そうして彼は知る。 この世界はまだ、平和とは程遠い混沌とした空間であると言うことを。
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