訪れる未来の女神

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そんなリオンに対して、彼女はほんの少し眉をひそめて尋ねる。 「何処まで知っているの」 それを聞いたリオンは微笑む。 そりゃそうだ。何せ、自分のギルドに所属している人物の事だ。 知らない方がおかしい。と言うより、以前会った事がある。 「ノルンの三姉妹。お前さん達はギルドの女三人組のギルドメンバー。ノルンの三姉妹における、ウルド、ベルダンディー、スクルドは全て本名ではなく二つ名である。女性のギルドメンバーの花形であり、彼女等が率いる女性だけで構成された部隊は、男性のそれをも圧倒する。治癒、戦術、どれをとっても一級品。先の戦では相応の働きをしていた。そうだろ? キーナ」 「……貴方は一体何者かしら」 自身の本名まで知っている、そんな学生に対して彼女は尋ねた。 「リオン、リオン・ヒルタレン。理の旋律を奏でる者、と言っておこうかな?」 リオンのその言葉に、盗聴をしていた五人は噴き出すのを必死にこらえて、目の前に居たクルドは瞳を鋭くしていた。 「……隠しても無駄、ね。良いわ話してあげる」 「随分と上から目線だな……」 不服そうな表情だが、この場では文句は言えない。 所詮自分は落ちこぼれの学生にすぎないのだから。 「君の言った通り、私はスクルドよ。私の任務は、貴方の監視」 彼女の口から出て来た言葉に、落ちこぼれは驚く。 それは、会話だけを聞いていたファイ達も同じ。 「俺を監視する意味が分からんのだが」 「私だって知らない。私に言い渡された任務は、貴方の監視それだけよ」 「何を考えているんだウルドの奴」 溜息を吐きながら愚痴をこぼす。 そしてもう一度、ワインを口に入れた。 「飲まないのか?」 「……そうね、学生とは言っても、年齢は違うし、いただこうかしら」 彼女はそう言うとワインを口に運んだ。 「俺の監視ねぇ。あいつから何か聞いているのか?」 「お姉さまからは何も。貴方本当に一体何者?」 「只のしがない高校生だよ」
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