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彼女がそういうと、ピアナはすぐに学園へと戻り始めた。
手加減を間違えて殺してしまったのは、大きなミスだ。
情報を引き出すことが出来ない。
数人殺したところで、連中は撤退してしまったのだ。
「さて……どうしたものか」
呟くとヘルは担ぎ上げたワルキを見る。
流石に限界が来たらしく、もう気を失っている。
痺れ薬とは言っても、毒を抜いてやらないとかなり危ないだろう。
溜息を吐く。
程なくして、ファイがやってきた。
彼が来ると同時に移動を開始する。
人目につかないように、不可視魔法を使用しての移動だ。
これを使用すれば、別にファイは必要ではないのだが、一応念には念を入れておく。
所謂保険だ。カレナでも構わないが、大人数で抜け出せば流石に教師が怪しむ。
やはり普段から抜け出すことが多いファイが、適任と言えるだろう。
人ごみを避けるように移動しながら、一行は寮にあるワルキの部屋に向かった。
何度も周囲に気を配りながら。
扉を開けて、ワルキの部屋に入ると扉を閉め、鍵をかける。
連中がここまで追いかけてくるとは考え辛いが、念のためだ。執念深そうな連中だったのだし。
ワルキをベッドに寝かせると、傷を見る。
かすり傷程度でこの有様だ。よほど強力なものを使われたに違いない。
彼女はそのまま傷口に手を当てて、魔法を使用し始める。
体内の毒素を中和する魔法だ。幸い、毒の種類は分かっている為、すぐに抗体を作る事が出来た。
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