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これで少しの間放っておけば、全快するだろう。
彼女はため息をつくと、心配そうな瞳でワルキを見つめたままのジェンに向かって尋ねる。
「ジェン、そろそろ教えて貰いたいのだが。君が何処から来たのか」
彼女のその言葉に、びくり、と反応してしまうジェン。
彼は何処か怯えた表情で、恐る恐るヘルを見た。
だが、何も話そうとはしない。
「……分かっているのか? もう話してもらわねばならない状況になっているのだぞ」
「……言いたくない」
「そうか。お前にも考えがあるのだろう、が大した問題でもない」
鼻で笑う。子供の浅知恵だ、と。
「お前の正体は、若干見当がついている」
彼女がそういうと、ジェンは少しだけ震えた。
ただ一人だけ状況についていけないファイは、ただ目を白黒させていた。
尤も内心は、今回はあまり関わらずに済みそうなので助かった、と思っている。
とはいっても、やっぱり厄介な事に巻き込まれているのはいうまでも無いことである。
なんだかんだでお人よしだから、結局は巻き込まれてしまうのだろう。きっと。
――――――――
ここは……何処だ……?
気づいたら白い何も無い空間にただ立っていた。
ただ、白いだけ。それだけだ。何も無い。誰もいない。何の音もしない。
白い白い、ただの空間。
やたらと意識だけははっきりしている。一体なんだと言うのだ。
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