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普通、夢と言うのは浅い眠りの中で見るものだ。
しかも起きたときには忘れてしまう程に脆い。
その中で、自分はどんなふうにもなれる、ありえない物語を描ける。
だが、ここは何だ?
ここはいったい何なんだ。
何もない空虚な空間。
まさか、これが自分の中身だとでもいうんだろうか?
だとしたらどれだけ自分は空っぽな人間なのだろうか。人間一人の姿も浮かばない。そばには誰もいないなんて。
そうして気づく。
この世界に、上も下も右も左も前も後ろも存在しないという事に。
立体的な世界ではない。かといって平面的な世界でもない。最早直線的な世界でもなくなっていることは明白だ。
二次元だの三次元だのと言う解釈は所詮、空間の認識に過ぎない。
ただの奥行きが出れば立体、三次元。無ければ平面、二次元の世界だ。
違いなんてそれだけにしか過ぎない。
だが、この世界は異常だ。
何だというのだ。一体。
立体でもない、平面でもないとしたら、この世界は何だというのだ。
ただの点だとでも言うのだろうか?
動こうにも動けない。無重力空間を漂っているかのような感覚。
不意に目にスクリーンが現れる。
何も無かった空間にただ四方を囲んだだけの至極単純なものだ。
そこに映し出されたのは、一つの静止画。
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