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「これは……俺?」
そこに映し出されたのは自分自身。
「一体、何だって言うんだ」
次々に映し出されていく、映像。
それは自分の過去。自分の記憶だ。
そんな映像がどんどんと周囲に散らばっていく。
途端に、何も無かった白い空間はさまざまな色であふれた。
不ぞろいな、意味不明な羅列。
過去の記憶からではなく、時間軸はばらばら。
「なんだよ! 何だって言うんだ!」
目を閉じたくても閉じられない。
ただ、映像が流れるだけ。ひたすらに映像が流れるだけ。
そうして、映像が止まる。
「……ピアナ、ファイ、カレナ……」
かけがえの無い友人たち。みんなが笑顔だ。
そして、笑ってる自分の手には、別の誰かの手が握られていた。
その手は酷く幼くて小さなものだった。
「ジェ……ン?」
はにかんだ少年が、自分の手をしっかりと握っていた。
それを認識した途端に、また画が変わった。
「あ……う……」
そこに映し出されていたのは、無残な姿と成り果てたジェンの姿。
目はえぐられ、脳漿は飛び散り、腕は片方が無くなり、足はあらぬ方を向き、破れた腹からは内臓が四散していた。
ただひたすらに、紅。
目の中にはひたすらに紅、紅、紅。目を逸らす事は許されない。ただ、その光景を見させられる。
何故だ! どうして! 自分はあのときに!
「うあああぁぁぁぁぁあああああアアッッッッッッッ!!」
黙っていたら、精神が押しつぶされる。
絶叫。ただ獣じみた咆哮を上げ、彼の意識は途切れた。
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