国を統べるには

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――――――― 「うああああァァァアアアッッッッ!」 絶叫しながらワルキは目を覚ました。 全身から汗が噴き出していて、滝のように流れている。寝ていたはずなのに、体には疲れが溜まっている。 夢なんて朧げにしか覚えていないのに、今回の夢はやたらとはっきり覚えている 気持ちの悪い感覚だ。 「だ、大丈夫、ですか?」 傍らから、声が聞こえてきた。 少年特有の声変わりをしていない、少し高い声。 ああ、無事だったのか。そうだ。無事なのだ。無事じゃなければならないんだ。 自分は知っていたじゃないか。ジェンが助けられる所を見ていたじゃあないか。 だったらあれはなんだ? 何であんなものを見たんだ? 何だって言うんだ。 「大丈夫、大丈夫、大丈夫だ」 自分に言い聞かせるようにそういう。 そこで全員の目が自分に向けられていたことに気がつく。 「……本当に大丈夫か? 随分とうなされていたが」 不安げに問い尋ねてきたのはファイだ。彼も随分と心配しているのだろう。 友人が苦しんでいるのを見て、良い想いをするわけも無い。 「ああ、大丈夫だ。少し気味の悪い夢を見ただけだ」そう言って額の汗を拭う。「シャワーを浴びてくる」ベッドから起き上がると、そのままシャワーを浴びに行くワルキ。 扉を開け、汗で湿った服を脱ぎ捨て、蛇口をひねる。 あふれ出てくる湯を浴びながら、ワルキは思う。 あの夢は一体なんだったのか。 夢にしては、妙に生々しい。凄まじく脳裏に焼きついている。
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