国を統べるには

20/43
前へ
/617ページ
次へ
ということは、このメンバーを最初から連れて行く心算だったのだろう。 「それと、安心してくれ。ファイにメイドの趣味は無い。こいつは中々マゾだからな」 張り詰めた空気の中に、一滴の水滴を落としてやると、とたんに「夫婦」の顔が真っ赤になる。 「な、ななな……! 別に私は、そそそんな事!」 図星だったらしい。 思い切り顔を赤くするカレナ。視線もあちらこちらと彷徨っている。 「はっはっはっは! 本当にリオンの報告どおりの反応だ!」 「リシフェル様。いい加減にして下さい。それとマゾって何ですかマゾって」 明らかに今、リオンといいかけてナチュラルに言い直したファイは、赤くなったままそういう。 「違ったか? サドではないと思うのだが」 「俺はノーマルです。趣味も何もかも! というか、貴方の加虐趣味が酷いだけです」 確かに。リオンの嗜好から言ってしまえば大半の人物はマゾヒストになってしまう。 「はっはっは。まぁ、良いじゃないか。ともかく今は王宮へ向かうことが大切だ」 彼はそういうと、ワルキとジェンを促して部屋から出て行く。 唯我独尊。まさに自己中心というに相応しい言動だ。 この性格をリオンは受け継いだのか。全く、ファイのように反面教師にすればよかったものを。 事情を知らない三人は、ただそう溜息を吐くのであった。 そして、通路に出た一行は崩天についていくのだが……。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加