国を統べるには

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「アルカリエ国王子、ジャリア・アルカ・ジェシー・ディー・ノレヴ・ジェサイア様をお連れしました。国王陛下」 騎士のように片膝をつき、首を垂れて玉座に座る男性に、若干棘のある口調で言う崩天。 「ご苦労、そのまま楽にしておけ」 仰々しく彼はそういうと、リオンは立ち上がり端へ控える。 低い、声だった。威厳のある声。華奢な見た目とは合わない。 いや、明らかにサイズの大きすぎる服装で体格を誤魔化している。 しかし、若いと聞いていたがまさかこれ程までとは。 まだまだ力が有り余っている様にも見える。ファイの父親と同年代とは思えない。クロノはどちらかといえば、くたびれている。 衝撃の連続に、あっけにとられていたファイ達であったが真っ先にカレナが我に返る。 「頭を下げなさい!」 手近にいたファイの頭を抑えながら跪くカレナ。 それに続いてピアナとワルキも跪く。 当然ロウも面白がってまねをするが、ヘルに立ち上がらせられる。 ぶぅーと頬を膨らませるが、しぶしぶ言うことを聞いた。 もともと、使い魔である上にリオンに使えている彼女達だ。 何もわざわざ、人間の王に首を下げる必要性も無いだろう。 ガルナはそ知らぬ顔で目を閉じ伏せている。 「さて、初めましてだね。ジャリア・アルカ・ジェシー・ディー・ノレヴ・ジェサイア君」 頭を下げることも無く、ただまっすぐに国王の顔を眺めるだけ。 その面構えは一国の王子のそれだ。 小さな男の子の表情ではない。 「……僕に、何の用ですか。グランディーソ王」 明らかに警戒している鋭い言い方。 「そう邪険にしないでくれ。こちらとしては貴方に客人としてこの城に訪れてもらっているのだから」 「……このような強引な方法で、連れてこられたというのに、客人とは面白いですね」 「これは手厳しい。やはり崩天を向かわせたのは間違いでしたかな?」 ちらりと黒衣の男を見る国王。 「…………」 崩天はそんな視線にも素知らぬ風にただ立っているだけだ。
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