国を統べるには

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王は自慢げに崩天をまた見て示す。本当に誇らしいのだろう。 彼を信頼するということは、相応の覚悟もあるという事なのだろうか? 彼を手元に置くことは、確かに安全かもしれないが、常に死の危険と隣りあわせだ。 いつ何時、寝首をかかれるやも知れん。 それを理解しての行動なのだろうか。 「それに、これは貴方の周囲の人間に対しての配慮でもあるのですよ?」 「……!」 「貴方は一度襲われている。という事は襲撃者を退けた、ということになる。さて、次にその襲撃者が狙うのは、何処の誰でしょうか」 「…………」黙りこくるジェン。言われなくても分かっている。 「悪いようにはしません。今後の行動が決定するまで、軟禁状態に等しい扱いは受けていただく事になるでしょうが、何、王宮内であれば自由はお約束します」 確かに、悪いことではないだろう。 付け狙う輩が以上、軟禁状態になるか、常に移動を続けるかの二択だ。 そうであればこの待遇は、かなりいいものであるといえるだろう。 王宮にさえいれば、そう簡単に生命を奪いにくるわけにも行かない。 「……分かりました。そのお話、受けます。ただし、ただし僕の祖国を乗っ取ろうというのであれば、僕は……」 ジェンの目が鋭くなっていく。 「分かっているよ。こっちも、そういった事に関しては首輪がついているみたいな物なんだ」 苦笑して彼は言う。おそらく、首輪とは崩天のことだろう。 彼は別に好きでこの国に味方しているわけではないのだから。 王は二回程手をたたくと、玉座の左にあった扉が開かれる。 「キホリア国王女、アンジェリクですわ。さぁ王子、此方へ。お部屋までご案内いたしますわ。ワルキとピアナも一緒に」 彼女は柔らかな物腰でそういう。 若干警戒しながらも、ワルキとピアナに促されて一緒についていった。 因みにロウと一緒にガルナの背中に乗って。 ……可愛い。
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