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キングサイズのベッドがドン、と置かれているだけでも十分にインパクトが強いというのに。
それにぴかぴかの装飾がなされている上に、レースのカーテン。
流石にワルキの目にはそれだけでも豪勢だというのに。
まるでテレビの中に入り込んでいるかのようだ。
超高級ホテルのスイートルームのよう。
ワルキの目からはもう、キングサイズのベッド以外目に入らなくなる程。
というか、それだけで脳の処理能力が一杯一杯だ。
とにかく、後は首を動かして部屋を眺めるしかない。
「それでは後ほど夕食の際に使いの者を向かわせますので。ごゆるりと」
王女はそれだけを言い残すと、部屋を出て行った。
「……なぁ、ピアナ」
「なにかしら?」
「……貴族の家ってこんなもんなのか?」
「そうねぇ、お嬢様のお部屋はもっと華やかですわ」
「いや、これより豪華なのかよ」
「違うわよ。もう少し狭いわ。それに飲み物もこんな贅沢なものじゃないわ」
ピン、とガラスのボトルを叩いてそういうピアナ。
テーブルの上におかれていたのは、どう見てもワインにしか見えないボトルと、グラスである。
因みにワルキに飲酒の経験は無い。金がもったいない。
「……私達は未成年だから、どうせシャンメリーとかでしょうけど。お嬢様はこんな気取ったものは好まないわ」
百パーセントのジュースがすきなのよ、と彼女は言うと部屋を物色し始める。
「お、おい。勝手にいじっても大丈夫なのかよ」
「大丈夫よ、多分。私達は今、客人なんだから」
ワルキに背を向けたまま、そういうピアナ。メイドの仕事が体に染み付いているのだろうか?
「いや、そうだけどよ」
慣れてないワルキは流石に気が引けるようだ。
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