国を統べるには

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ジェンのその言葉を聞いて、ワルキは合点がいった。 つまり、情報が回らなかったのだ。互いの国が共に慌しくて。 端的で誇張された情報だけが、互いの国を行きかっていたのだろう。 つまり、革命が起きたという事が、崩天のルシフェルは一人で何十万もの人間を殺した、という情報だけが。 そんな事があるのだろうか、と思うくらい面白可笑しな話だが、実際に会ってしまったのだから、どうしようもない。 「五年前から、か。随分と長く続いているんだな」 「はい、最初は小規模なものだったとか」 「ま、どの国でもごく小規模ならあるけどな」 しかし、それが戦乱にまで発展するなんて聞いたことが無い。 それに、今のこの国は最強の抑止力が存在しているし、実は政府と反政府組織は水面下で繋がっていたりもする。 「しっかし、わっかんねぇな。この国に来たって事は、亡命したって事だよな。なのに、おってくるなんて」 ワルキはそんなことをぼんやりと呟く。 妙な事は知っている癖に、そこから先の考えが回らない奴だ。 「考えなさいよ。王子って事は、国の象徴よ。その象徴の元に集うのが国民よ? つまり、王族が生きていては都合が悪いことばかりなの」 ピアナは頭の足りていない目の前の少年に補足してやる。 実際、自分の国の王女様となればトップアイドルも同然。しかしここで疑問が一つ。 何であそこまで可愛いのだろうか?
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