国を統べるには

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まぁ、そんなDNAの不思議は放っておいて、とりあえず話を進めようと思う。遺伝って恐ろしい。 「都合が悪いって言ったって、そんな大きな問題があるのかよ?」 「あるわよ? 第一に国民が新しい政権についていかないわ」 「国民が政権についていかないって……どういうことだよ」 革命、という事は国民が王を倒そうという事だ。 つまり、国民が主導で行う行動の筈。なのに、国民がついていかないとはこれいかに。 「さっきの話の中では、この革命は王家に罪は無いって言う風に聞こえたわ。だとするのなら、国民をあおった誰かがいるという事。それに、革命って言うのは、常に国民主導って訳じゃないのよ」 疑問符が頭に浮かぶ。 国民主導でない革命は一体何なんだ。 「軍が、反旗を翻す事だってありうるのよ。直接的な力を持っているのは、軍隊の方々ですもの。そうねぇ……分かり易く説明すると……」 あごに手を当てて、熟考するピアナ。そんな表情にまた、心を奪われてしまうワルキは、つくづくほれているのだと思う。 「崩天のルシフェル様が、この国を力で乗っ取ろうとしている、って言ったら分かり易いかしら」 「ああ、納得した」 非情に分かり易い。 なんともあの崩天のルシフェルが、その力で王を殺し、自分が王になろうという、実現可能な話は本当に分かり易い。 実際、本人にその気は無いし、もしやるとしても『殺した』という結果だけを彼は気にするのだろう。 「つまり、別に今回は国民がそれを望んでいたわけでもないし、悪政であった訳でもないって事か」 「そういう事になるわ。だから、外国に王家の嫡子がいると困るって事なの」
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