国を統べるには

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時間がほんの少しだけ進むと、扉をノックする音が聞こえてきた。 「どうぞ」こんなとき、どういったら良いか分からないワルキの代わって、ピアナがそういう。 扉を開けて入ってきたのは、ピアナと同じだけどデザインが異なるメイド服に身を包んだ女性だった。 「お食事の準備が整いましたので、ご案内いたします」 そろそろ、お腹も減ってきたし丁度良かった。 ワルキ達はすぐさま立ち上がると、メイドを先頭に歩き出す。 向かう先は食堂なのだが、ワルキはそんなことを知らない。というか、一々食事で場所を変える行為を彼らは知らないのだ。 無駄としか思えない程に広い廊下を歩きながら、煌びやかな装飾を首を動かし眺める。 見るものすべてが目新しい。 というか、田舎者丸出しである。 まぁ、当然といったら当然であるが、すれ違う人の多いこと多いこと。 しかもその殆どがメイド服とか、執事服に身を包んでいるのがなんともまた。 メイドなんてピアナ以外見たことが無かったので、珍しくてしょうがない。特に執事服なんて見たことも無い。 ファイにとってはもう二度と見たくもない代物だ。あれを着るとなると、絶対に拒否したい。 「どうぞ、此方です」 巨大な扉をあけると、そこに広がっていたのはそれはそれは長大なテーブルだった。 それを見た瞬間に言葉を失うワルキ。ここへ着てから驚きっぱなしである。 白いテーブルクロスに豪華な燭台がある。 唖然としかなれない。 「ほら、入りますわよ」 ピアナに腕を引っ張られて、広間に入る。 自分達が座る席が示されて、そこに向かう。そうすると、メイドの一人が椅子を引いてくれた。 どうも、と頭を下げながらそこに座るワルキ。 それに引き換え、ピアナとジェンは実に堂々とそこに座る。 やはり、慣れと言うか血筋的にそれが体に染み付いているのだろう。
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