国を統べるには

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くすくすと笑う王妃様。 正直、あまり気分が良いものではない。 「おい、ハカるな。まだこいつはケツに殻のついたヒヨコだ」 「大切に育てているのが分かるわ。流石は貴方のお弟子さん、と言った所かしら?」 「……弟子を大切に扱って何が悪い。お前みたいには育てたくないんだ」 「あら、言ってくれるわね」 「言われるだけの事をやっていた女が、よく言う。俺を殺したことがあるのにな」 「貴方が悪いんですよ。あんなに隙だらけで殺してくれといわんばかりでしたもの」 「俺を殺すだけの度胸、試しただけだ。尤も、俺の目測は外れたみたいだがな」 つまり殺せない、と崩天は踏んでいた訳だ。 当時というと何歳くらいだろうか? 今でも十二分に美しいのだが。 「当然、俺は殺す理由が必要だっただけだが」 だろうとは思った。 「おいおい、俺たちの馴れ初めを話してどうするんだ、崩天」 「……今の一体何処にそんな甘い要素が……」 唖然とそう尋ねるのはファイである。相変わらず眉間には皺が寄っている。 本当に規格外な人たちだ。 何をどうしたら、それがなれ初めになるのだろうか。 「そこから甘い物語が始まるんだよ。簡単な推理だろ」 崩天はぶっきらぼうにそういう。 「いえ、自分にはさっぱりなのだですが」 「あ、それ、分かります」 「流石はカレナだ」 「ありがとうございます」 「会話になってねぇ!」 流石にこの歪な会話についてこれなくなったのか、お姫様がうつむいて肩を震わせている。 もう、このノリにはついていけないので、ワルキとピアナたちは普通に無視を決め込み始めた。 いつもこのメンバーは度が過ぎたテンションになりがちだ。 特にファイとリオンが原因となる事が多いのだが……。 今日に限っては似てる人が多すぎる気がする。
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