国を統べるには

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特に王妃様。 なぜかは分からないがリオンと似た感じがするのだ。 外見からは分からないが、ずいぶんと強かだ。 それに加えて王様のあのはっちゃけっぷり。 周囲のメイドたちはなんでもないように立っているところを見ると、どうやら日常的にこの光景が繰り広げられているらしい。 末恐ろしい。 こんな豪華な食卓ながらも、やっていることは庶民の食卓で出来ること。 「……この国の王は威厳が無いのでしょうか?」 その光景を眺めていたジェンがぼんやりと呟いた。 「……あ……るんじゃないか? 一応」 不安げに、目をそらしながらそう言うワルキ。 まぁ、一応テレビとかで演説を見たことがあるが、そのときの王様は随分と凛々しく格好良かったのを覚えている。 とても強そうで、逞しい。 事実は小説よりも奇なり、なんてよく言うが、今回の限っては本当に小説か何かじゃないかと思ってしまった。 「そうですか……羨ましいです」 寂しげにポツリと呟いたジェン。 「さて、ではそろそろ話がしたいのだが」 その言葉を覆い隠すように王はジェンに話しかける。 「これから、のことですか」 少し躊躇いげに、何処か後ろめたさを感じさせるふうにそういった。 「さて、此方としては貴国に支援を申し出たいのですが」 さらっといきなりとんでもない話を始める王。 こういった事は、もっと別の時に別な場所でもっと内密に行うべきではないのだろうかと、激しく疑問に思う。 「……断る、といったら?」 「別に? ですが此方としてもこのまま引き下がる訳にも行かなくなっている事を知っておいて頂きたい」 王はちらりとワルキたちの方を見て、そういう。 自国の領地内に無断で侵入した挙句、国民に被害を出した以上、黙っている訳にも行かない。 だが、国代表者たる王子はここに居る。 となれば、責任は彼に行き着くわけだが……今回は話が違う。
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