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隠密行動、というと何処と無く忍者とかそういったイメージがあるが、あんなに格好良いものではない。
実際は地べたを這い蹲ったり、ゴミ箱の中に隠れたりもする。
見つからないようにするのに、必死なのだ。
「大所帯、とはいえなくとも、それなりの人数もいるのだが」
「そこは頭使えよ。何もみんな一緒に行動する必要性は無いだろ」
あー、と不意を突かれたかの様に兵はうなった。
要人護衛、という名目にくらまされていたのだ。
要人を護送する際には、それなりの規模が必要となってくる。
秘密裏の行動であってもそれなりの人数だ。
十数人、という単位そのものが可笑しいことなのである。
少なくともこの倍の人数は欲しいところだ。
幾ら腕が立つから、それなりに覚えがあるからといって、この人数では心許ない。
だからこそ、そこで更に人数を減らすという発想に到ることは出来なかったのだ。
「人数を減らせば、人目にはつきにくくなるだろ。高々分隊単位での行動になるのだったら、班にまで分けてしまえば良いって事」
そういったリオンの顔は清々しいまでの笑顔であったが、同時に憎たらしさを覚ええるものでもある。
どうしてこうまでもぶん殴りたくなるのかは放っておいて、話を続けよう。
「人数を減らすと言っても、分け方に問題があるだろ」
ワルキはそう口を挟む。
「お前はジェンを送り届ける役割を果たすという大事な役割がある。あと、ピアナもだ」
「私も、ですか?」
「まぁな。それに加えてテンペニー准尉を加えておけば大丈夫だろ。大尉、異論は?」
「無い、と言いたい所だが、一番重要な所だ。もう一人兵を同行させる」
「妥当、か。その代わりに他の連中の動きが大事になってくるな」
「場合によっては陽動を必要とする可能性も視野に入れなければならない。成程、良いだろう。こっちで人選を考えておく」
「頼んだぜ! 大尉!」
ビシッ、とサムズアップを決めるリオン。やたらとノリノリである。
まぁ、やる気があるのはいいことだ。
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