突破

15/37
前へ
/617ページ
次へ
と言うか、傍らにおいてある駒の多さと言ったら……。 予備がいくつかあるとしても、想像もしたくない数だ。こんなのが全部敵兵だなんて。 それに比べ黒い駒の数と言ったら……。 侘しい。 「とはいっても、見張りも人間だ。交代がある。そこを狙って進入する」 「って言ったって、監視カメラとかは……」 「そんなものが俺たちの前にいったい何の役に立つというのだ」 「いや、貴方はいいかもしれませんがね、他の皆はどうすんですか」 「配置は全て地図上に明記してあるだろ。それに、型式も古い奴だ。動かせない、魔力感知機能無し、視野も狭い。となれば対策はいくらだってあるだろう」 「……本当ですか?」 「安心しろ。しっかりと把握している」 「貴方の安心しろほど、心配になるものは無いのですがね」 溜息を吐いてファイはそういう。 いくら配置が分かっていたとしても、不足の事態という物が存在するのだ。 それに、型式が幾ら古いとは言っても、それをカバーするために人間が多数配置されているのではないか。 それを分かっているのだろうか。 「というか、俺も、こんな面倒な事はしたくないんだがなぁ」 リオンは一言そうぼやく。 「どこが面倒なんですか。その面倒を通らないと、進めないじゃないですか」 確かにファイの意見は尤もだ。 だが、それはあくまでも普通の意見からの発想だ。 「おいおい、アナログほど面倒なもんは無いんだぞ。今でこそ、利便性が重要視されているがな、そんなもんシステムの根源をたってしまえばそれで終わりなんだよ」
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加