突破

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確かにデジタルは便利だ。 だが、同時に脆さを持っている。 今回の関所突破ではその脆さを利用できないのだ。 人間で補われている以上、見つからないように潜入すると言う行為の難しさが目に見えて分かる。 逆にすべて機械で補われているのだとしたら、人間の数は少なくなる。 そして、監視システムと言った物は必ず一つの部屋に集まる傾向がある。 一つの部屋で、複数の部屋、通路を監視する事は、非常に便利だ。 人間の目が届かない所まで見ることが出来る。 「確かに。デジタルと言うのは一見、便利なように見えて、簡単に落とせるからな」 リオンに同調したのは准尉だった。 彼も似たような発想を持っているのだろう。 「一つの部屋さえ抑えてしまえば、後はこちら側の思うがまま。そのたった一つは簡単に壊れてしまうようなものだし」 「流石軍人は違うねぇ! そう、その通り。部屋を強引に潰してしまえば、後は騒ぎに紛れて突破すれば良い。だけど、昔ながらにほんの少しだけデジタルがくっついた程度のものを突破するとなると、これが骨だ」 「見回りの人間が多いから、か。想像には難くないな」 なにやら、大人連中は勝手に納得しているが、ファイたちは全く理解出来ていない。 物心ついた頃からデジタルなものが普及していた以上、それは仕方の無いことなのかもしれない。 ピアナにも少し解り辛い話だったようだ。 どちらかと言えば、アナログ派である彼女が分からないのでは仕方ない。
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