7442人が本棚に入れています
本棚に追加
まず建物内に潜入したのは他の誰でもないリオン達の班であった。
まぁ、それはそうだ。
何せ彼らは人目もセンサーも何も気にしていないのだから。
リオンの使い魔であるヘルを呼び出し、そのまま不可視魔法で出口まで突き進んでいる。
このまま何事も無く進めば、間違いなく一番最初にこの関所を突破するのはリオンとファイの班だろう。
まぁ今一番驚いているのは、何も知らずにリオンに従った兵たちだろう。
「隊長も言っていたが、君は一体何者なんだ? 不可視系統の魔法は自分を中心に一定の範囲に効果を発揮する魔法だというのに……」
当然の疑問だろう。
本来は集団で使うような魔法でもないし、自分たちだけを見えなくする、といった都合のいい魔法でもない。
人間という生物を透明に見せかける魔法なのだから。
「そいつは企業秘密ですぜ、兄さん。俺はただの学生だって事さ。そういうことにしといてくれなまし」
消音魔法までも使いこなし、念話じみた魔法までも使う男がどうして普通の学生なんていえるか。
そんなものはありえない。
少なくとも、ギルドランクAでは不可能である。いや、専門的な分野において限定するのならいないことは無いが、平均して不可視、消音、念話、を全て完璧にこなす人間なんて、見たことが無い。
しかも使い魔がそれをするということは、主であるリオンもそれを出来るという事は明白。
使い魔の魔法と主人の魔法は常に似る。
秘密主義が格好いいと思っているリオンには、とてつもなく好都合なことだ。
とはいってもファイにとってはどうでもいいことこの上ないので、非常にいらだたしい問題なのは言うまでも無いだろう。
というか、今すぐ殴りたい。
最近殴ってなかったので今すぐにでも殴りたい。
もはや切り刻みたい。
最初のコメントを投稿しよう!