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ファイの苛々が募るのを肌で感じながら、一行は無事に関所を通り抜けることが出来ました。
ちなみに、今回は本当に最短ルートを通ったので、僅か十数分で通り抜けることに成功した。
これが、見回りや監視カメラなどを気にしながらの迂回だと、倍以上の時間がかかる。
というか、倍ですんだらめっけもんだ。
少なくとも数時間はかかることを覚悟しなければならないというのに。
合流ポイントまで先にたどり着いたリオン一行。
「ヘル」リオンは短くそう使い魔の名前を呼ぶと、黒猫は「にぃ」と小さく鳴いて姿を消した。
「さて、暇になっちまったし、果報は寝て待てってね」
そういうとリオンは欠伸一つ、その場に寝転がり睡眠を始める。
やれやれ気楽な事だ、といわんばかりに溜息をつくファイ。
同行していたはずの兵達は、もうこの二人についていけず、それぞれ体を休めている。
それが賢明だ。
一方、場所は変わって関所内。
テンペニー准尉を筆頭とする、最重要メンバーはゆっくりとその歩みを進めていた。
幸いにも、建物内の図がある為、何処にどのような部屋があり、何処に監視カメラが備えられているのかが分かるので、実に苦労しない。
魔法はピアナが光属性の魔法を使うことが出来るので、監視カメラは何とか誤魔化してきている。
准尉はピアナが光属性の魔法を使うことが出来ると聞いて驚いていたが、まぁ少々楽が出来る程度にしか考えていなかった。
それがまた逆にワルキに驚きを与えたのだ。
別に特別な能力を持っていようが、彼らには関係ないのだ。
能力主義、実力主義というのはそういう事だ。
要するに、必殺技に意味がないといっているのだ、彼らは。
別にそんなものを使わなくても、人は殺せるから。
少々特別な魔法が使えたところで、便利な特技に過ぎない。
すぅと、ゆっくり徐々に道を進んでいく。
周囲を確認しながら、人がいないかどうかを確認しながら、慎重に。
じっくりと時間をかけて、安全を確認しながら進んでいく。
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