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「ハマーに言っていてくれ。相変わらずで安心した。が、あまり気を利かせずとも構わんと。別にそんな事をして貰う必要も無い、と」
それを言われた店員は、少しばかり驚いていたが、リオンの名前を尋ねる。
「そうだな、風と炎を育んだ者、とでも言ってくれ。それでわかる筈だ」
なんともクサイ言葉だ。
しかも微笑みながらの言葉だ。
今時そんな言葉を使う奴なんていない。
せめて偽名くらい使う筈だ。
そんな、通り名じみたものなんて使う訳がない。
何がやりたいのかさっぱりだ、と言わんばかりにファイは頭を抱える。
それを告げるとリオンは店から出て行った。
そうして、何の会話も無いまま盗聴器の受信範囲から遠ざかって行った。
「……行ったわね」
カレナは呟く。
「ああ行ったな」
それに応じてファイも呟いた。
「それにしても驚いたわね。まさか、転校生がギルドメンバーだったなんて」
そう言ったのは委員長。その表情は、相変わらず小難しい事を考えている表情だ。
リオンの事を今まで、やたらと強い癖にそれを隠している奴だという認識だったが、今回で全く違う想像ができてしまった。
何故、ギルドの事にまで詳しいのだろうか。
全く分からない。
年齢は自分達と一緒のはず、だ。
その筈だ。
だというのに、ワインをたしなみ、この店のオーナーとも顔みしりだとは、一体どういう事だろうか。
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