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そして殺すなという指示は受けていない。
という事はフルオートで弾をひたすらにばら撒けばいい。
兵士はワルキたちに照準を合わせて、トリガーを引きっぱなしにする。
銃口から吐き出される鉛弾は、ただ無軌道にばら撒かれるだけ。
だが運悪く、一発の弾丸が事もあろうにワルキの足を貫通してしまった。
うめき声を上げて、バランスを崩しその場に片膝をついてしまう。
「ワルキさん!」
背中にいたジェンは悲鳴を上げる。
「ガルナ!」襲い来る激痛に耐えながらも、ワルキは渾身の力で使い魔の名を叫ぶ。
現れた狼は無言でワルキからジェンを奪うと背中に乗せて走る。
「やれやれ……お前が安心安全を心がけてくれるおかげで退屈する時間も無いよ」
声が聞こえた次の瞬間に、発砲音が数度鳴り、サーチライトが次々と撃ち抜かれてゆく。
百発百中。
一発たりとも外しはしない。
敵から降り注ぐ銃弾は全て、見えない壁のようなものに防がれて、地面へと落ちている。
全てのサーチライトを破壊し終えると、その人間は闇から姿を現した。
「まったく、面倒をかけさせるな」
呆れ果てた風にいうリオン。その手には普通の拳銃よりも、一回り大きい回転式拳銃が。「そんなことよりジェンが……」
「あいつなら心配要らないだろ。自分の使い魔を少しは信頼してやれ」
「そうよ、貴方は少しは自分の体のことを心配するべきね」
そう言うピアナだが、関所を見てはそわそわと落ち着きが無い。
「カレナたちならもっと大丈夫だ。もともと強い連中だが、ヘルも向かわせておいたからな」
それを聞いた途端に落ち着きを取り戻すピアナ。「私がお嬢様の事を心配する理由なんてないじゃないですか」
そうかい、とリオンは一言返事をすると、そのままワルキの体を持ち上げて移動を始めた。
この場に何時までもとどまっていては追っ手が来る可能性も考えられるだろう。
そんなアルファベットで表記されるような雑魚キャラクターを一々相手にしていたら、時間が幾らあっても足りない。
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