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そこらへんの草むらに放り捨てると、その周辺一帯に結界を張る。
「つぅ……おい、こっちはけが人なんだぞ。少しは丁重にだな……」
文句を垂れるワルキに対してリオンは冷たく一言「五月蝿い」と切り捨てる。
「申し訳ない、自分が付いていながら怪我人を出してしまって」
准尉は神妙な面持ちで、誰にでもなくそういった。
別に彼の責任ではない。
舞台を率いるリーダーの役目から言ってしまえば、確かにそうなのかもしれない。
だが、論点は其処ではない。
「准尉はお気になさらなくて結構。こいつにはいい薬です」
ワルキの傷を見ながら、リオンは鼻で笑ってそう言う。
「銃弾は貫通している、主要な血管も外れている。悪運だけは強い奴みたいだな」
「五月蝿い。大した事ないんだろ? だったら、とっとと傷口を塞いでジェンの所に」
「行くなタコ。お前が行った所であいつを怯えさせるだけだろ」
立ち上がろうとするワルキの足を思い切り押さえつけてそういう。
鈍痛が走り、全身から力が抜ける。
「実践慣れしてないお前が銃弾受けて意識保ってられる方が不思議だっての。大人しくしてろ」
リオンはそう言うと、ワルキの傷口を手の平で覆い隠す。
その時にまた痛みが走り、反射的に足を動かそうとするがリオンにまた押さえられる。
目じりに涙が浮かぶ程の激痛の中、目の前で自分の足を握っているリオンを殴ろうかとも思うワルキであった。
その一瞬後、リオンがつかんでいる足の傷から、淡い光が漏れ出してくる。
それが光ると同時に痛みが若干和らいで行くのを感じた。
どうやら治癒魔法を使っているらしい。
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