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やせ細っているようにも見えるが、屈強な肉体は隠しきれるものではない。
「ご苦労。状況は」
「よろしくありません。つい先日、国王一家の処刑が決定されたばかりです」
国王一家、すなわちジェンの家族だ。
「お父様達が!」
血相を変えてジェンはそう言う。
「……王子、貴方が我が国で保護された事、まことに喜ばしく思います」
ジェンの姿を見ると、軍曹はそう言う。
「報告を続けろ」
「は、正確な日時は決定されてはおりませんが、この情勢ですと数日中に決行されるでしょう。目的は自己の力の顕示と、恐怖心の刷り込みでしょう。手段はギロチンであると既に公表されております」
「公開処刑にギロチンねぇ。ベターな展開だ。実に短絡的で、効果的な演出だ」
それに対して、リオンは苦笑しながらコメントする。
実に面白そうな面構えだ。見ていて腹が立つ。
が、今回は大尉も同じような表情をしていた。
「全くだ。実に短絡的で思慮に欠ける。この国がてめぇのものだって勘違いしている発想だ」
「全くだ。あいつは勝者なんかじゃない。敵を総て殺さない限り、勝利者とはなれない」
「軍人の基本だ。敵となるものは殺す。誰の為でもない、自分達の為に」
「いや、見ようによってはおびき出そうとしているのか?」
「可能性はある。だがそれは非常に危険な賭けだ」
「本人が出てくれば、の話だが」
「出てこなくては意味が無いだろう」
「まぁ、子供一匹捕まえるのにそこまで労力を裂く必要性は無いと思っているのだろう。例え兵力を集める事が出来たとしても脆弱だと」
「不愉快だ。俺達は義勇軍程度の力ではない。訓練された兵士だ」
「そして、少なくとも俺だけは連中よりも圧倒的に、強い」
リオンはニカァと何とも薄気味悪い笑みを浮かべる。
少しばかり本気を出す、ということなのだろうか。
だとすれば、今回の件は思っているよりも手間を取りそうに無い。
少なくとも、女子高攻略よりは楽が出来そうだ。
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