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大口を叩いて虚勢を張る奴は大抵弱い。
大尉の経験則だ。
マニュアルには書いていない。
「ファイが、何故俺に敬語を使っているか。そいつに気づこうぜ」
「……クロノ、デルシオン。あいつの息子が平民であるお前に対して敬語を使う。それそのものが不審だった。それは認めよう」
「だったらそこから何らかの手がかりを掴みなよ」
「共通点は、崩天のルシフェル。あの、得体の知れん男か」
「行き着いたねぇ。しかし、得体の知れん男とは……本人がきいたら喜びそうな台詞だ」
「……お前はあの男とかかわりがあるのか?」
その質問に対して、リオンはあまりにも軽々しく答えた。
「こいつは機密事項だぜ? それでも聞くかい?」
「口外すれば?」
「知っている奴らを消すだけだ。相手が誰であろうと関係ない。まぁ、言っても信じられないのがオチだがな」
「良いだろう。今更一つや二つ、腹の中に持とうが関係ないからな」
即答だった。成程、今まで口外出来ない様なものを聞いたりして来たのだろう。
それに彼自身、興味があることには首を突っ込みたくなる性分らしい。
聞かないともやもやするタイプの人間のようだ。
「俺とファイはあの人の弟子だ。因みに、俺が一番弟子。当然、ファイよりは強いぜ。それに、俺は色々とお師匠様のお仕事を手伝って来たから、それ相応の実力は持ってるぜ」
自信満々にそう答えるリオン。
「お許しが出たので隠しませんが、学生五人相手に大人気なく圧勝しますから。この人」
勿論学生とは自分達のことである。
「ま、ということであの人は自分は関わらないにしても、それなりの保険をかけておいたのさ」
本人である。
「まぁ、ということで俺はそこらに居るバカとは比べもんにならんから。その心算でよろしく」
自信満々で言うことではない。そして、崩天のルシフェル本人であるということをここに明記しておく。
くどいようだが、本人である。
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