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「話が逸れたな。さて、本題に戻ろうぜ。作戦だが……」
リオンの口から作戦が告げられる。
が、それは少々危険すぎる。
「冗談じゃない。その作戦はジェンを危険に晒すことになるじゃないか!」
そう叫ぶのはワルキ。ジェンを最前線に出すなんて馬鹿げている。
彼を危険に晒すことは、即ち敗北への近道だ。
「そんな事は百も承知だ。だが、ジェンも分かっているだろ?」
「……」
リオンの問いかけに、ジェンは無言で首を縦に振る。
無言だった。王家、その言葉は彼にのしかかる重圧の一つだ。
「やっぱり物分りが良いなぁ」
皮肉混じりか、そんなことを言うリオンに対して本当に苛立ちを感じるワルキ。
リスクが高すぎる。それをすることによって、どんなメリットがあるのか。
少なくともリスクしか見つからない。
「リオン様、それには賛同しかねますよ。今の作戦にはリスクしか見当たらない」
「そうだよ。完全に、完璧にやろうとすればまともな案は幾らだって出てくるさね。特にそこに居る准尉殿が、たっぷりとまともな作戦を飛び出させてくるだろうさ」
「それが分かっているのなら、どうしてわざとリスクを負う様な真似をさせるのです」
「人間って生き物が単純だからさ。そして、偶像崇拝をする点でも言える」
「そろそろ、抽象的な言葉を出すのは止めたらどうですか」
「フハハハハハ、私が神だ」
「黙れ。畜生」
「ドウブツ扱いかよ」
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