狼の牙

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ワルキが戻った頃は既に混戦模様だった。 敵味方入り乱れている。 この機に乗じてケーニッヒに反旗を翻している兵もいるようだ。 正直、そういうのは止めて欲しい。敵味方の判別がつき難くなる。 おとなしく静かな所で傍観していてくれた方がよっぽど良いが、本人達はよっぽどストレスが溜まっていたのだろう。 鬼気迫る勢いで私兵を圧倒していく。 「まったくすごいねぇ」 リオンはそう呟くと、紅蓮での接近戦に切り替える。 一度すべての戦力を集めて再編成した方が良い。 どうやら指揮官連中が少し寝返っているいるみたいだ。 ブラックマン大尉を見つけ出す。 「大尉、味方の勢力の確認を!」 「准尉にやらせている! 此方に合流してきた部隊もいくつかある!」 「再編成、たのんますよ!」 「言われんでもやっとる! 識別出来る様にもな!」 成程確かにある程度の連中は、識別しやすい様に装備やカラーが変わっている。 いつの間に用意したのやら。 「指揮、任せた!」 それだけ言い残すと、再び前線へと走っていく。 幾ら、戦力が増えた所で大した数ではない。 このままで行けば押し切られるのは明白だ。 リオンの進行方向に二人の雑兵が出現する。 「雑魚に」抜刀と同時に斬撃。「今日は構ってられん」 首を綺麗に切り落とすと、そのまま突撃。 飛び込んでくる魔法はすべてかき消す。 殺す事ばかりに気をとられているとすぐに此方が劣勢となる。 早く、あのケーニッヒ・ハルトマンを殺さなければ。 それだけを念頭にリオンは混戦の中を駆けて行く。 寄らば、切り伏せながら。
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