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男達は恐怖した。
獣人ゆえの本能、というものかもしれない。
本能的な危機察知能力。手負いの獣、子持ちの獣を相手にするようなものだ。
それがどれだけ危険な事か、獣の血を引くが故に理解できてしまう。
戦意を失った獣を殺すなんて造作のないこと。
再び一歩で敵の懐に接近、今度は腹部に一撃。吹き飛び地面を転がる。
確実に内臓にダメージを与える一撃をワルキは放っていた。
敵も黙ってはいない。
当然反撃に打って出る。
近接戦闘、特に格闘に自信があるのか、素手で一人が突っ込んでくる。
突き出してくる拳に、拳をぶつけてやる。
衝突する拳と拳。
勝利したのはワルキだった。躊躇う事無く突き出された拳は、相手の拳を打ち抜き、拳の骨を砕いた。
突き抜けるような激痛にひるんだそいつの腹部を蹴り上げて、そのまま回し蹴りを決め、壁に激突したそいつの胸骨の真上に拳を叩き込む。
尋常じゃない程の血液を吐き、絶命する。
それはワルキの腕を紅く紅く、染める。
一人が懐から銃を取り出し、薬室に銃弾を装填、サイトでワルキに狙いをつけてトリガーを引く。戦闘が始まったと言うのに、銃弾を薬室に装填して無いとは。
準備が悪い。
放たれる前にその行動に気がついたが、トリガーを引くが早い。
銃口から発射される鉛弾を目で捉えると、それに向けて拳をまた突き出した。
拳の先から魔力が放たれ、銃弾を弾き飛ばす。
そのまま余剰の魔力は、拳銃を持った男へとぶつかる。
それに体勢を崩し、銃口がワルキから離れるその隙にその腕を掴み引き千切った。
飛び散る鮮血がワルキを更に染める。
そのまま顔面を掴み地面にねじ伏せて、握りつぶした。
まるでトマトを素手で握り潰しているかのような光景だった。
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