狼の牙

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一人が魔法を放ちもう一人が近接戦闘を仕掛ける。 魔法の方が早く、近接のほうが遅いタイミングで飛び出た。 臆する事無く拳を握り締め、魔法を粉砕。次いで近接戦闘を仕掛けてきた男の足を払う。 が、跳躍で回避される。その手に持つナイフで、ワルキを切り裂こうと腕をつきだす。 肉体に対して傷を一つでもつけることに成功すれば勝利は確定する。 以前とは異なり今度は猛毒付きだ。痺れ薬程度とは話が違う。 地面に手をつけて、そのまま曲芸にも似た足技で腕を跳ね上げる。 距離をとった瞬間に飛んでくる魔法は両手首を使って跳躍し、回避運動をする。 その背後にはまたもう一人の男が魔法を構えて立っていた。 ワルキはそのまま足に魔力を集中する。 飛んでくる魔法を脚部に溜め込んだ魔力で相殺すると同時に足場にして、そのまま天上へ跳躍、そして天上を蹴って最初に魔法を放った男に飛び蹴りの体勢に入る。 背部から、不得意な風属性の魔法を噴出させながら、推進力をつけ飛んでくる魔法を突き破り、直撃。 腹に足がめり込みそのまま、地面に陥没を作る。 何と言う規格外のパワー。 苦戦必至の相手に対して、圧勝している。 手も足も出ないどころか、相手にすらされなかった相手に対してだ。 理性というものは恐ろしい。 これほどの本能を押さえつける事が出来るのだから。 ここに来てようやく相手も意識が変わる。貧弱な狩られる立場から、狩る立場へ。 その瞳が変わる。 たちまちその動きが変わり、先程とは異なる動きをしてくる。 技とスピードにキレが出て来た。 相対してワルキの動きも上がる。 彼は、只、加速する。
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