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一方、リオンとケーニッヒも戦闘を行っていた。
戦闘は行っていたのだが、どう見てもリオンは遊んでいる風にしか見えない。
確かにケーニッヒは強い。
たとえカレナが本気を出した所で、勝利は出来ないだろう。
レベルで言うのならヴァンと同格か、それ以上。
強いといっても十分なレベルだ。
それに対してわざわざ、拮抗を保つ。
リオンの実力も馬鹿馬鹿しい。
切り上げ切り下げ、魔法、あらゆる攻撃を回避、防御し、相手が見切れる程度の力で魔法や近接攻撃を仕掛けていく。
「どうした、さっきのは只のまぐれだったのか?」
「そいつはどうかな。片翼の堕天使は気紛れなのさ」
切り結びながら、そんな会話をする。
互いにまだ、余力を残している風に見える。
「ほらほら、本気をだしなよ。少しは足掻いて見せな、クソッタレ男」
ニタニタ笑いながら挑発するリオン。
本当にリオンが戦闘をするとどちらが悪役か分からなくなる。
そんな彼を鼻で笑うと、ケーニッヒはナイフを数本投げる。
スゥ、と流れるようにそれを回避すると、炎刃を返答に使ってやる。
ナイフでそれを消すと、今度は銃を使ってくる。
放たれた銃弾は二発。こいつは二という数字が好きらしい。
先程投げたナイフも二本。今回の銃弾も二発。
確かに二という数字には意味があるが、通常軍人なら三という数字を使うはずだ。
やがて、少年を抱えた神喰いが帰ってくる。
それを横目で確認すると、リオンは一気に懐までもぐりこんだ。
咄嗟にナイフで防御する男。
「さて、お前はギロチンが処刑の手段だったよな?」
涼しい顔で言ってやる。
「処刑ってのは相手が絶望しなきゃ意味が無い。絶望してもがき苦しむ中を殺す。それに意味と美学が在るのさ」
「よく分かっているじゃないか」
「だからこそ、相手を簡単に殺してはいけない。拷問を加え、加虐に加虐を加えて殺す。処刑ってのはそういうもんだ」
公開処刑とは結果に過ぎないのだ。
「だからこそ、俺はお前を殺すのではなく、処刑するのさ」
リオンはそこまで言うと、力を込めて弾き飛ばす。
「やれるものなら……」
中々の力で飛ばされた為に踏ん張ってしまい、一瞬だけ顔を下へ向けてしまった。
そして顔を上げた瞬間に、目の前にあったのは白刃だった。
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