エチュードそしてプレリュード

2/24
前へ
/617ページ
次へ
秋も深まり、ようやくクッソ熱い残暑からもようやく開放されて、昼寝も心地良くなる頃である。 例によって授業中は姿を消しているリオンの事もやっと当たり前になり、教師も探しに行かせることも無くなった今日この頃でもある。 授業も本格的なものが増え、戦略と戦術の座学もようやく基礎的なものから、応用的なものへと変わってきた。 変わってきたといえば、校庭の木々も赤みを帯びてきて、落ち葉も増えて来た。 そしてもうじきにユーレリウル学園戦術訓練発表大会というものがある。 ようは五人一組でチームを組んで団体トーナメント戦を行うという話だ。 といっても当然予選リーグというものもあるのだが。 そしてこの大会で優勝するという事は卒業後の進路に困らないという事である。 そんなこんなで、みんな血眼になってやるのだが……。 まぁ、それは三年生や二年生の話だ。 一年生はまともに勝てないのである。 まぁ、そんなこともある二学期最大のイベントを控えぴりぴりと弱い緊張が走っていた。 と、そんななか外から爆音が響き渡ってくる。 エンジン音、随分と大きい。 この音はバイクのエンジン音。低く爆発するような音。 何事かと思い窓の外を眺めると、校庭を一台のバイクが疾走している。しかもノーヘルで。 どうやらバイクの種類は、俗に言うアメリカンバイクというもののようだ。 顔はよく見えないが、どうやら乗っているのは女性らしい。 長い髪が風になびいている。 というか、随分と豪快な女性だ。 「ん……?」 ファイはふと気が付いて、眉を顰めた。 非常によくない予感も、同時に脳内からはじき出される。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加