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我儘だなぁ、という言葉を先読みしてクルドはそう言う。
「まったく可愛くないねぇ。少しは可愛げってもんを見せたらどうなんだい? お前も女だろうに」
「男勝りな貴女にだけは言われたくないわ、ベル」
こりゃ堪えるねぇ、とベルは苦笑する。
ちょうどそこでチャイムが鳴り響き、授業は終了となるはずだが、授業は終わりになるどころか、担任の出現によりよりカオスな事となる。
「何事だ!」叫びながら、教室の扉を蹴破る担任。
「おお、貴女がクルドの担任か噂に聞いていたが中々豪快な女性じゃないか!」
感嘆の声を上げるベル。
それに対して、担任はあくまでも冷静に対処する。
「貴女の目的を言いなさい!」
大剣を構えながら彼女はそう問う。
それに対してまたもベルは感動したようにしみじみと、
「いやぁ、対応も適切だねぇ。流石はギルドSクラスと目されているセレナちゃんだ。うちの隊にも……」
そこまで口に発した次の瞬間に、彼女は吹き飛ばされる。
「口からでまかせはそこまでだ次女。どうして三女を学校に通わせているのか、意味を思い出せじゃじゃ馬」
「いってーぞ! まったく、女の腹を殴るなんて常識が無い奴だな!」
「問題はそこじゃねぇ!」
リオンが苦戦してる。珍しい。
あの人を振り回す事を趣味とし、また得意とするリオンが振り回されている。
「ったく、お前がどうしてここに来たのかよくわからんが……」
「だからクルドの――」
「やかましい!」
怒鳴りつけて黙らせるリオン。
「とにかく! あんたがここに来る事そのものが本来よろしくねぇんだよ。大体仕事はどうした仕事は!」
「姉さんに押し付けて来たんだぜ」
テヘペロ、とそんな風にベルはいかにもやってやったぜ、という自慢げな表情をする。
「……あのな、長女はあれでもかなり忙しいんだぞ?」
「えー別に良いじゃん」
「よくねぇっての!」
「だったらあんたはどうなのさー。自分は仕事なんて……」
もう一度彼女の体を吹き飛ばすリオン。
「いってー!」
「だまらっしゃいぃ! あんたは何処まで暴走する気だ!」
「ぶぅ~ケチケチしなくても良いじゃないか」
「かわいこぶっても無駄だ。自分の歳考えろ、自分の歳を」
「まだ二十代だよ!」
「十分だってのこのアホ。二十過ぎてそんなことをやってる女なんて気持ち悪くて話になるか!」
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