7442人が本棚に入れています
本棚に追加
溜息を吐きながらリオンは呟く。
「それで……」少しだけ、気だるげな瞳が鋭くなる。
「今年はどうするんだ?」
「どうするって……?」
「勝ちに行くのか、それとも様子見で行くのか――ってことだ」
リオンのその言葉に対して挑発を受け取ったのか、カレナは鼻息を荒くして詰め寄る。
「当然勝ちに行くに決まっているでしょ!」
「本気で勝ちに行く心算か?この学校のレベルがそこまで低いとでも思っているのかよ」
「そんな事は言われるまでもないわ。それでも負ける気で行くなんて私の信条に背くのよ」
負ける気で戦うなんて、そんな事は彼女が許さない。
「だぁが、勝算ってのはあるかよ」
リオンのその一言に、正直なカレナは言葉に詰まる。
勝てる要素が見当たらない。
このメンバーならば予選突破は難くない。
だが、そこから先の勝算がどうしても頭に浮かばない。
例え幾らか勝ち進めたとして、この学校には最強の生徒がいる。
ギルドランクS、学生身分にしてそのレベルに達しているものは珍しい。
まさに最強の学生と呼ぶに相応しいだろう。
クルドやリオンなどとは全く異なる存在。己の実力のみで、その高みまで辿り着いた生徒がこの学園には居る。
そうでなくとも、高学年に上がればカレナと互角に戦う生徒なんてごろごろしている。
そんな連中を相手にして、どう勝ち残れるのか。どう勝つのか。
訓練で補うか? それでも無理だ。そんなものが容易に存在する訳が無い。
歯噛みしてカレナはリオンをにらみつける。
「やれやれ、ぐうの音も出ないかね。お前さんの直情っぷりもワルキに似ているねぇ」
最初のコメントを投稿しよう!