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一方、カレナは黒猫に訓練の指示を仰いでいた。
「――それで? 私は一体どうすればいいのかしら?」
既に剣と扇を取り出し、準備万端の状態で少女は尋ねる。
「そう慌てるな。説明が先だ」
彼女はそう言うと、猫から人へ姿を変える。
その手に小さな水球を作ると彼女は説明を開始する。
「水属性魔法というのは、基本的に液体を操る魔法だ。そして同時に三つの状態を操る魔法でもある」
そこで彼女は一度言葉をとめると、同じ大きさの球体を二つ、また新しく作り出した。
氷と……白い球体は水蒸気か。
「お前達は普段、空気中に存在する水素と酸素を結合させたり、水蒸気をかき集めることで水魔法を使用している」
「そんなの常識でしょうよ。水素と酸素を結合させるって話は初耳だけど」
「だが、ここに矛盾を感じないか? 水の総質量が使用されている水分量とつりあわないことに」
言われて見れば、確かにそうだが、確かに顕現できている。
一体何処に不可思議な数式が在るのだろうか。
「ま」息を吐きながら死神は言う。「そんな事は今考えることじゃないが」
だったらどうしてそんな事を尋ねたと聞きたい。
「ともかく、とりあえずこの三つを作って見せろ。ああ、別に三ついっぺんじゃなくとも良い。別に其処まで期待しているわけじゃないからな」
そういわれると意地でもやってみたくなるのが彼女の性分。
同時に三つの球体を作り出そうとするが、どうにも上手くいかない。
水と氷だけは同じものを作り出す事が作り出す事が出来たが、どうしても三つ目だけは作ることが出来ない。
歯を食いしばり、三つ目の球体を作り出そうとするが形状が安定しない。
「はっはっは……諦めろ、小娘」
笑いながらヘルはそういうが、カレナは必死になってそれを作ろうとする。
「五月蝿い! 出来ないとくやしーでしょうが!」
「別にできんでも問題ないのだが」
そんなこんなで二人の特訓が開始するのは今しばらく時間が必要のようだ。
元々強いのでそこまで必要ではないと思われるのだが。
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従順なメイドが居る部屋。
そこでは一人の従者がリオンの講習を受けていた。
「……何故貴方が私に指示をするのですか?」
「……聞くな。カレナが駄々こねているみたいなんでな」
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