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溜息を吐きながらそういうリオン。
ファイのほうは一区切りついたので、とりあえずワルキより先にこっちのほうへ来たのだった。
「お前さんにやってもらうのは簡単だ。只単に、射る距離、その精度、数をアップしてもらうだけだ」
「まぁ、ある程度なら今でも出来るけれど」
「ま、少し見てな」
リオンはそういうと弓を取り出し、矢を構える。
狙う先は遠くの五つの的。
「まずは数」一本の矢を放つ。
その矢は途中で幾つにも数を増やした。
その数はおよそ百を超えているようにすら見える。
たった五つしかない的はすぐに穴だらけになってしまった。
「これに精度」もう一度矢をつがえ、放つ。
先程と同様に、それは数を増やすが、五つの的の中心だけに突き刺さった。
数百という矢を正確にコントロールするという事なんてしたこともないし、出来るなんて思わない。
幾つかの矢を同時にコントロールして敵の関節部分には命中させた事はあるが……それとは一つ格が違うだろう。
で、こいつの上位版。
現れたるは五十を越える的。
しかも配置はランダムだ。先程と同じように横一列、というわけではない。
何の迷いも無く、矢を放つリオン。
放たれた矢が全ての的を瞬く間に射抜かれていく。
的の中心に、一本ずつ矢が刺さっている。
恐ろしいまでの精密射撃。
「ま、ここまで数は多くなくてもいいがね」
あくまでもデモンストレーションという事で、数を多くしただけらしいが……。
少しやりすぎだ。
「距離は言わずもがな。だから、最後に一つだけ」
一本の矢はそのまま空中を移動しそしてその運動を停止する。
「そして任意の方向へ動かす」
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