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日頃の恨みと言うやつだ。
もし、彼が自覚なしであんな事を言っていたとするのなら、どれほどの天然なのだろうか?
いや、彼に限ってそんな事はありえない。
全くもって、ありえる筈のない事だ。
天然や鈍感と言った言葉は、彼には一切似合わない。
いや、恋愛事に関しては若干鈍い所はあるのかもしれないが、その他の事に関しては鋭すぎる。
と言うか、盗聴器に気がついた男が、一体何を言うのやら。
「はいはい、じゃれあうのはそこまで。所でリオン、転校生がスクルドだって言うのは本当なのかしら?」
未だ牙をむき出しにして唸っているファイを引き剥がして、カレナはリオンに尋ねる。
彼女の顔は真剣そのものだ。
赤くなってひりひりする頬をさすりながら、リオンはなんて事無い風に、さらりと彼女の言葉に答えた。
リオンに緊張感が無いのは何時もの事だ。
「ああ、ほんとだよ。お前さんなら知っているか。スクルドの事くらい」
「当たり前よ。なんでギルド幹部の一角が貴方に監視なんて付けているの」
「知らないぜぇ。こちとら何の心当たりも無いんだからな」
これは間違いなく嘘だ。
クルドよりも上位の人物からの指示なら、リオンの正体を知っていてもおかしくは無い。
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