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「ま、予選くらいは君達だけで何とかして下さいなって事よ。まさかこの俺が戦わなければならない状況に予選でなってたら世話がないんだぜ」
確かにそうだ。
予選程度でわざわざリオンが出向くことになってしまったら、ファイたちの訓練が全くの無意味なものになってしまう。
「ま、この振り分けなら敗退する、何て事は無いでしょ」
手元の表を見て、そういうリオン。
委員長のチームはまた別のリーグで行うことになったし、一年生の中でも優秀な生徒は何人かいるみたいだが、それでもたかが知れている人数だ。
それにカレナに勝てる生徒はこの学年にいない、となれば勝利は確定だろう。
「ま、目標は無敗だな頑張ってくれ給え」
尊大な口調でリオンは言う。
「……そういえば会場は湿地訓練場だ」
随分と沈んだ表情で呟いた。
「ざまぁ!」
「殴りますよ」
「殴った後に言わないで」
カレナにとっては絶好の舞台だが、ファイやワルキにとっては最悪の舞台とでも言えるだろう。
ぬかるみで足がとられる上に、湿度も多く火を維持するのにも魔力を消費させられる。
局地戦闘などを考慮した訓練ではなかった為、ある程度の自信はあるものの、それでも一抹の不安要素が残る舞台だ。
尤も、水上訓練場よりも水の総量は少ないが、その中途半端さが逆に苦しい。
熱帯雨林の中に長袖で、通気性の悪い装備のままでいるようなものだ。
そんな中におおよそ一時間もいたくないだろう。
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