開幕

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しかも視界は最悪。 生い茂る草木が視界と行動をさえぎってしまう。 開けた場所はあるのだが、そんなところに出れば絶好の的だ。 「喜べ、第一試合からだぞ!」 何を喜んでいるか、リオンは嬉々としてそういう。 野次馬根性丸出し。完全に他人事。 自分は戦わないから良い気分なものだ。 「という事で例によって例の如く」 「何の例ですか何の」 「君達には訓練の成果を示して貰いたいので、最初に限って君達にある枷をはめてもらうよ」 それはあんまりだ、とみんなが声を合わせて文句を言う。 ワルキだけは黙って俯いたまま。反応もしていない。 「まーまー、そんな目くじらたてなさんなや。訓練の結果を俺が確かめるだけなんだからさ」 そのくらいいいだろー、とリオンはけらけら笑う。 他ならぬ訓練教官の言いつけとなれば、断るわけにも行かない。 結局は文句を垂れながらも、承諾してしまう三人。 ワルキだけは返事もない。 「ワルキーおきろー寝不足なのは分かるが頑張れー」 リオンがぺしぺし頭を叩きながらそう言う。 んぁー、なんて、気の抜けた声を上げながら目を覚ますワルキ。 ぐ、と伸びを一つすると大口を開いて欠伸をした。 「勘弁してくれよ……本当に辛いんだから……」 「そんなお前にいい知らせだ。今日の第一試合がお前の出番だ」 それを聞いた途端に再び机に突っ伏すワルキ。 「勘弁してくれ……本調子じゃないんだぞー」 実際ワルキの体の調子は本当によろしくない。 身体の疲労および極度の緊張感による眠気。極度の運動による筋肉痛など。 特に眠気と言うのは非常に邪魔臭い。 頭痛に変化したり、体を鈍らせる原因となる。
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