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それこそ、無理難題だ。
「ピアナ、お前は無理じゃないな?」
含み笑いを浮かべて、リオンは彼女に尋ねる。
自信満々に、首を一つ縦に振る彼女にカレナは驚いた。
ピアナは正直だ。
嘘はつかない。
つまり、それだけの実力があると言うことだが、今までそんな自己顕示を彼女が見せたことはなかった。
いつもカレナの後を付き従って歩いているだけだったのに。
「ワルキも、無理だ、なんて言わせないぞ。そうなるように、お前達を訓練してきたんだからな」
ぐ、と言葉に詰まるワルキ。だが、それでも言い返す。
「あんなのが一体なんの役に立つっていうんだ!」
「お前に不足しているもんがあれで足りるのだよ。バカだからな」
言い返せないが、言い返せはしないが非常に腹の立つ一言だ。
こめかみに青筋を浮かべながら拳を握り締めている。
「ま、そんな所だ」と一人満足げにこれで終わりだと思っているリオン。
だが、そんなことで終わらせないのが、逞しくなったファイたちである。
「……俺達ばっかりそんな課題出されても面白くありませんからね。俺達が見事課題を成功したあかつきには、貴方も試合をしてもらいますからね」
その一言には流石のリオンも硬直した。
「……冗談で言っているんだよね?」
冷や汗を流しながら、リオンはそういう。
一方のファイは大真面目だ。
「いいえ、冗談半分などではありませんのであしからず。因みに負けるという選択肢は無いので」
「そんな約束俺が守るとでも……」
「血祭りにあげられるのとどちらが良いですか?」
「はいすいませんでした」
素直に屈服するしかないリオンであった。
死なないが故に拷問は辛いものになる。しかもそれが孫からのものとなれば、精神的に酷いものになるだろう。
だんだんとこいつもクロノに似てきた、とリオンは隅でいじける。
何と言うか「おじぃちゃーん!」という会話を期待していたのだが、流石にもうそんな年齢ではなくなっている。
もっと早くに顔見せとけばよかった、とこの時ばかりは後悔したリオンであった。
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