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しぶしぶ承認せざるを得なかったリオンであるが、そう易々と本気を出す気も無い。
実は彼には秘策があるのだ。
たった一つ、冴えた方法が。
「――ということで俺は」
「させねぇよ」
ああ、最近はサボる時間も少なくなってきたなぁ、などと思いながら捕まれた肩の痛みを感じるのであった。
運命の第一試合。
相手は別クラスの生徒。名前も戦術も知らないものが多い。
幾ら他クラスとの合同実習があると言っても、全員の名前を覚えるのは不可能に近い。
試合会場は全部で八つある。
多すぎる試合を、より効率よく消化する為に幾つも存在する特殊、あるいは通常の訓練場を使用する。
因みに予選はチームから三人選抜し、先に二勝をあげたチームの勝利だ。
因みに制限時間十五分である。短い。
長期戦を得意とする生徒には若干辛いルールかもしれない。
両サイドに設置された仮設の控え室に、チームが入る事となる。
本戦とは違うため、簡易的なものしか置かれていない。
質素なテーブルとパイプ椅子。
そして試合の順番や勝敗を告げるスピーカー。
とはいっても、ただ剥き出しになっていては流れてきた魔法などによって簡単に破壊されてしまう危険性がある。
幾ら見た目は簡素なプレハブ小屋でも、魔法によって強化されている。
金のかかることだ。
しかも今回勝敗を決定するのは、無人島での合宿の時に使われたあのブローチだ。
あれよりも、少々質は落ちるが、それでも十分な効果を発揮する。
肉体へのダメージを数値化し、肩代わりするのだがある一定の上限に達した時に壊れてしまう。
そして破壊されると同時に医務室へと転送される魔法陣が施されているのだ。
そもそも魔法陣が入るというだけで値が張るのだが。
そしてそのブローチは、必ず胸の中心部に付けなければならないというルールがある。
これは心臓の真上という人間の急所を明確にするためだ。
このルールに逆らうことは出来ない。
控え室に入ったリオン率いる五人組は、スピーカーから流れてくる音声を待ち侘びていた。
やがて、準備が整うとスピーカーから音声が流れ、一人目の選手が呼び出される。
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