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「それじゃ、ファイ・クロノデルシオン行ってきます!」
一番手としてエントリーしていたファイはサムズアップをしてプレハブ小屋を飛び出していく。
指定された位置に辿り着くと視認出来る位置に相手が居た。
その距離五十メートル。
一歩で寄るには遠く、魔法が着弾するにも少々時間が必要となる。
拳銃の早撃ちなら可能かもしれないが、使いこなせる人間がいない。
五十メートルは思っているよりも遠いのだ。
とは言っても視認出来る位置にいるという事は、それだけ決闘に近い方式だろう。
違うのは周囲の条件程度。
一対一の戦闘で、しかも相手の位置が視認できる以上周囲の状況はさほど関係はない。
確かに魔法によっては得手不得手が存在してしまうが。
高まる緊張感が体にのしかかる。
心が自然と浮かれてきてしまう。
そうして自分の緊張が高まった瞬間に、試合開始の合図は鳴り響いた。
先手必勝と言わんばかりに、片刃直刀を手にかけ出して来る。
右手に剣、左手には盾を装備した典型的なバランス型だ。
どちらもそこまで大きくないところを見ると、魔法もそこそこ上手いらしい。
「刀を使うなってのはまた、無茶を……」
一人ぼやいてみるが、それに回答してくれる人間はここにはいない。
仕方なしに接近されない様に距離を取る。
すると相手は空を剣で切り裂くと、見えない刃が頬を掠めた。
相手は風属性の魔法を使う上に風刃を使うのかよ。
内心舌打ちをしながら、ファイは回避運動に専念する。
外野からリオンの「ちゃんと戦え!」という野次が聞こえてきそうだ。
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