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悠々とプレハブ小屋へと戻ってくると、ファイは仲間とハイタッチを交わす。
「どうですか。言われた通り刀を使わずに、勝ってやりましたよ」
挑むような視線でリオンにいう。
「普通だっての。この程度ではしゃぐなバカ」
やれやれと溜息をつくリオン。
続いて呼び出されたのはピアナ。
「それでは行ってまいります」
彼女は主人に一礼をすると、弓を手に歩いていく。
先程ファイが立っていた場所までやってくると、試合の開始を待つ。
そうして、一息を入れると同時に、試合の開始音が響き渡った。
それと同時に使い魔を召喚、そして姿を光属性の魔法で姿を隠すと、一気に距離をとり相手が混乱した隙に魔力の矢をつがえる。
そうして弓を引き絞り、相手の胸部にあるブローチ目掛けて矢を放つ。
風の魔力で作られたその矢は何に阻まれる事も無くただ、相手を貫いた。
試合開始僅か三分の出来事であった。
勝者を告げるアナウンスも、何処か驚愕しているような声色だった。
先程のファイの戦闘が、割と普通に見られる光景だとするのなら、今回のこれは異常だ。
幾ら実力差があると言っても、ここまでのものとはいえない。
開始早々に使い魔を呼び出して、尚且つ不可視の魔法を使用し、相手から距離をとった後に矢での狙撃。
高校生が使う戦術ではない。
それに魔力消費を一切いとわない戦闘。
後の事なんて考えてもいないかのように、惜しみなく高出力の魔法使うなんて。
「貴方に言われた通り、一撃で相手を倒しましたわ」
戻ってくるなりピアナはリオンに冷たく言い放つ。
「流石は瀟洒なメイドさん、って所かね」
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