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「……お褒めに預かり光栄ですわ」
顔をしかめてそういうピアナ。
何があったのかは知らないが、酷く険悪な関係にいつの間になったのだろうか?
「おいおい、そんなに気に入らなかったのか?」
「……ならやらなければよかったとでも?」
「まぁにぃ。別に強制って訳でも無いし」
「……私の戦術をこうした貴方がよく言うわ」
「そのほかの手段で決めれば良いじゃないか?」
「……私のような後方支援型は前衛に回る事があってはならない」
「定石だな」
「その定石に従ったまでよ」
「何のために?」
「……私に言わせる気ですか?」
「おお、こあいこあい」
二人だけが理解できる世界に入り込んでしまっている二人。
他の三人は一体何故こんなことになっているのか理解できない。
「皮肉ですね。私が最も嫌悪しているものを使わなければならないとは」
「だったら盾を持てばよかっただけだろ。それを棄てられなかったのは、お前の未練だろ」
「…………」
沈黙を以って回答とするピアナ。
自分自身の未練。
そんなものは分かっている。
どれだけ時間がかかろうとも永劫に抜けない呪い。
「それくらい覚悟を見せな。ピアニシモ」
それだけ言うとリオンは扉から出て行った。
試合は終わったのだ。
だったら早々に退散するのが本当なのだ。
だけれど、残された四人はただその場に立ち尽くすのみだった。
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