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自分が今まで行ってきた事を、自分自身を否定されている気がして。
だけれど、試合終了の音声は響かない。
「おーい。何を終わった気でいるのかは知らないけれど、俺はここだよ」
ふと気づくと木の上にリオンの姿はあった。
どうやら完全に回避していたらしい。
一体いつの間に移動したのかは定かではない。
けれど事実は一つ。
少年の放った攻撃は当たっていなかった、という事だ。
「ささ、急がないと時間切れになっちゃうよ。なんていってる間にも時間が過ぎてるんだけどね。後、四分二十三秒だ」
ふわりと木から飛び降りると、リオンはそういった。
キッと少年はリオンをにらみつけると武器を握り魔法を乱発しながら突撃する。
条件に相手からの攻撃が無い、という言葉が無かったが流石にさっきの条件で自分が攻撃するという事は考えられなかった。
五分以内に相手を倒してしまっては意味が無いからだ。
よって防御という発想を捨てた。相手の逃げ道を封じ込める程の数を放てばそれで勝てる。
理屈はそれだった。
現に風纏いの弱点もそれだ。
点や線の攻撃は回避することは出来るのだが、面の攻撃は回避なんて出来ない。
防御せざるを得ない状況に追い込んでしまえばよかった。
ただそれだけだった。
放たれる攻撃をことごとく回避し、それでも未だ余裕の表情を崩さないリオン。
挙句の果てには口さえも開く。
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